経営改善事例/手法紹介
大矢旭税理士事務所の経営改善に関する具体的な事例をご紹介します。
いずれもお客さまからのご相談に基づいて現状分析を行い、立案した改善策を実行することで、成果につながりました。
中堅工務店の事業承継
この中堅工務店は下請けへ切れ目なく仕事を発注し続けていることが特徴であり、下請け側も優先的に、かつ安い金額で受注してくれるため、高水準の財務内容を維持していました。
改善前
黒字経営を維持したことにより株価が非常に高くなり、会社の後継者(先代社長の長男であり現社長)が相続する財産が多いように誤解される可能性があり、他の相続人である兄弟姉妹との間で揉める恐れがありました。
改善後
長男への株式の相続に対しては事業承継税制を利用し、奥様には配偶者軽減を限度額一杯まで適用、他の相続人には残りの財産を均等に配分するという提案を行いました。併せて、自社株式は換金することができない財産であり、経営のやり方次第では財産価値が無くなる可能性があることを説明しました。
また先代社長には、奥様やお子様方の立会いの下、公正証書遺言を作成していただきました。
その結果、長男は事業承継時の相続税の支払を猶予することができ、また長男以外の株主であった兄弟姉妹との揉め事も回避し、スムーズな事業承継を実現させることができました。
今では現社長から息子への事業承継の依頼を受けており、篤いご信頼をいただいていると共に、職業会計人として大きなやりがいを感じている案件です。
会社同士のお付き合いに関する融資のサポート
お付き合いのある会社との関係を見直したいというご相談をいただきました。しかしその会社とは資金的な関係があるため、関係を見直すためには自社で資金を調達する必要がありました。
改善前
会社同士のお付き合いは、単なる取引関係や信頼関係に限らず、資金的なつながりを含むことがあります。その関係を見直したりお付き合いを中止したりする場合は、自社での資金調達が必要です。
資金調達ができないためにお付き合いが続いてしまうのは、長期的に見ると損失につながります。
改善後
必要な資金を調達するための資金計画も含んだ、お付き合いを見直すための事業計画を立案。
その結果、自力での資金調達に成功し、円満にお付き合いを見直すことができました。
医療法人の新病棟設置におけるエリアマーケティング
病院にとってのマーケットは、近隣の患者さんです。そのため、新病棟の設置計画においては、競合の診療科目などを分析した上でセグメントを工夫する必要があります。
改善前
医療法人さまから、新病棟を設置したいというご相談をいただきました。計画内容を見ると近隣施設が競合になると見込まれたので、そのままでは事業計画通りにならないと判断。近隣施設との競合を避けるためのセグメントを研究し、事業計画を立案いたしました。
改善後
十分な集患が見込める事業計画を構築し、その事業計画に基づいて新病棟の設置が進められました。近年、医療機関同士の競争が激しくなる傾向があるため、緻密なマーケティングが欠かせないことが顕著に表れた事例です。
美術館のコンセプト立案
観光地に美術館を新規で設置する際のコンセプトを立案した事例です。
今や美術館にとってのライバルは、美術館以外の多様なアミューズメント施設です。美術館同士が相乗効果を発揮して集客する工夫と、それを叶えるための実効性のある資金計画が必要になります。
改善前
すでに近隣にある別の美術館を踏まえた上で、集客力のある美術館にすることを目的としたプロジェクトでした。大矢旭税理士事務所は監事の立場から関与し、他の施設と競合せず、相乗効果で集客できる施設にするというコンセプトを立案いたしました。
改善後
美術館周辺は観光地のため、観光客が美術館にも足を運びたくなるようなマーケティング分析を提案。重要なポイントは、観光の一環として楽しめる美術館、思い出に残るような美術館にすることでした。
ただ所蔵品を見せるだけではなく、何度訪れても楽しめる美術館にすることで、美術館自体を観光スポットに変えました。
アパレル会社の利益最大化
経営改善計画は、絵に描いた餅では意味がありません。資金計画も含めて実効性のある計画にすること、今ある経営資源の中で利益を最大化することが、大矢旭税理士事務所の考える経営改善です。
この事例で重視したのは、実績データの精密な分析とキャッシュフローの最大化でした。
改善前
売り上げがあるのに利益が思うように出ていない場合、ひとたび売り上げが低迷した途端に深刻な事態に陥ります。
この事例でも同様の事態が表面化したため、現状の経営に潜んでいる問題点や課題点を徹底的に洗い出すことから始めました。そこから見えてきたのは、経営資源が分散し、強みを活かしきれていない現状でした。
改善後
売り上げを向上させるだけでなく、フリーキャッシュフローの最大化を目標に設定し、「しっかりと利益の残る経営計画」を立案。強みである部分に経営資源を集中させることで、確かな利益体質を構築しました。
この事例は、会計からのアプローチによる経営分析が功を奏した典型例といえるでしょう。
造り酒屋の販路拡大
権威ある賞を受賞するほどの実力あり、国内のスーパーなどに商品を卸している造り酒屋さまです。安定した販売実績があるものの、利益に直結していないとお感じでした。
改善前
スーパーなどのチェーン店への販売実績は安定しているが、思っているほど利益が出ていないとお感じだったので、販売実績データを分析しました。すると、意外にも小売店への販路が総売上に占める割合はそれほど高くないことが判明。個人への販売やインバウンド客が中心の酒蔵めぐりツアーでの販売が好調だと分かり、この分野を強化する改善策を立案しました。
改善後
予算に対する実績アップは、会計からのアプローチによる分析力が真価を発揮する分野です。今回は重視すべき販路がはっきりと見えたため、インバウンド向け・観光客向けの販売を強化する経営計画を実行し、高い成果を上げることができました。